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天杉太郎のアマチュア樹木の基礎講座 その8

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 ようやく梅雨が明けた様ですが、今日の新潟は雨でした。8月に入って梅雨が明けるとは!でも天スギにとっては良い梅雨だったのかもしれません。

 今回は、まず次の写真を見てください。この週末、中ノ沢へ行く途中での、上島集落近くの田んぼの風景です。見慣れた風景でしたが、今回は気がつきました。とっても大事なことに。それでは、この写真をヒントに「スギの更新」について考えてみましょう!

    杉胴吹き1-3


 先回の樹木の基礎講座 その7では、「萌芽更新、伏条更新、立条更新」について天杉太郎のイラストをもとに勉強しました。しかし、多くのスギ天然林を廻り、多くの天スギと出会ってくると、天スギの世界ではある意味なんでもありで、スギの天然林では実生・萌芽・伏条・立条の複合型更新であると言えます。

 今までアマチュア樹木の基礎講座では、
   その2 「株立ち」
   その3 「萌芽(ひこばえと胴吹き)」
   その4 「あがりこ大王」「環境と樹形」
   その5 「スギのボウボウ萌芽」
   その6 「森の成り立ち(天然林とは)」
   その7 「更新(萌芽更新・伏条更新・立条更新)」
 この様に当初考えていた内容を一部変更して勉強して来ましたが、当の天杉太郎が今ひとつ納得してないことがありました。
 「スギの萌芽」についてです。

 「萌芽」については、基礎講座 その3をあらためて見て頂きたいのですが、「萌芽」とは、幹や枝が人的または自然因子で伐られ、折られ、損傷を受けたか、または樹勢(樹木の勢力)が弱まって来たときに新たな枝が出てくることを言い、その枝を萌芽枝と言います。根元から出ているものを「ひこばえ」、幹や枝から出ているものを「胴吹き」と言います。萌芽枝は芽吹くことができなかった休眠芽・潜伏芽や、全くの不定芽をもとに成長していきます。以上が、「萌芽」の要約ですが、何に納得していないのか?次の二枚の「スギの萌芽枝」の写真をあらためて見てください。

    ブ13-24  スギの胴吹き      ぼうぼう萌芽  スギのボウボウ萌芽

 こんなに細く、弱々しい萌芽枝が、萌芽更新・伏条更新・立条更新して、本当に立派な幹として成長するものだろうか。天然スギで3つの更新などにより太く立派に成長した天スギの幹は、実はもともとあった枝(一次枝)が成長したものではないか。と言う素朴な疑問でした。もともと幹の髄まで続いていない不定芽の萌芽枝が、大木の様な天スギの幹になりうるものか?!

 それでは、冒頭でご紹介した杉写真をもう一度じっくり見てみましょう。

    杉胴吹き-1-2  阿賀町・上島のスギ

 今度は注目して欲しい箇所に黄色い矢印を入れました。枝打ちされた植林のスギに何やらもこもこした枝のかたまりが見えますね。もっと近寄って見てみましょう。

    杉胴吹き-2      杉胴吹き-3  スギのマフラー、おしゃれ!

 枝打ちされたまっすぐな幹から沢山のスギの枝が出ています。枝打ちされた後から出てきた枝ですから間違いなく「萌芽枝」と言うことになります。見る角度を変えた二枚目の写真の中央部、幹の右側には何か幹からまっすぐ上に伸びる枝の様なものが見えます。「スギの萌芽枝」の写真として面白いな。と、その時はそのまま中ノ沢に向かうべく七曲に進みました。

 と、七曲を過ぎ「猿岩」の近くに差し掛かったとき、またまた次のスギが目に入って来ました。このスギもこの十数年毎週の様に中ノ沢に通う際、いく度となく見てきたスギです。が、今回は違いました。

    杉胴吹き-4-2  中ノ沢・猿岩のスギ

 先ほどの上島のスギと同じ樹形です。おしゃれなスギのマフラーを着けています。近づいて良く見てみると!!!!

    杉胴吹き-5  立派なスギの胴吹き    杉胴吹き-6  立派なスギの枝

 写真でもおわかりのように、おしゃれなスギのマフラー、このスギの胴吹きは弱々しい細枝ではなく、立派なしっかりとした、そして何よりスギの特徴であるまっすぐ上に向かって枝を伸ばしていたのでした。このスギも枝打ち後の植林杉、出てきた枝は萌芽枝で間違いありません。
 こうして興奮したのは私だけかもしれませんが、「スギの萌芽枝」は細く弱々しく萌芽更新・伏条更新・立条更新によって主幹に代わるべく立派な幹に成長できるのだろうか?!こうした疑問を払拭してくれるスギでした。

 最後に次の写真を見てください。

    杉胴吹き4-3


 このときに居合わせてくれた地質学が専門の高橋さんです。高橋さん曰く、このスギも上島のスギも杉林の中ではなく一本独立しており、枝打ち後普通は萌芽枝が出ても林内の光が不十分で大きく立派に成長することはないが、一本独立しているこのスギは、太陽の光を充分受けることができ、萌芽枝でもこうした条件が揃えば、立派な枝にそして主幹に代わる幹にもなりうるのではないでしょうか。と、仮説を立ててくれたのでした。脱帽!
 近い将来高橋さんは、地質学だけではなく、樹医か樹木医を目指すとのことです。天スギ調査になくてはならない「動く物差し」をお願いしていた高橋さんを、将来は先生とお呼びするときが必ず来るような気がします。

 十数年間、百回二百回と中ノ沢に通いいつも見てきた上島のスギ、猿岩のスギでした。ささいな事ですが、今回の「気づき」を考えてみると、ここに来てようやく「天スギ」が見えてきた、会話ができるようになってきたなと思うのでした。

 次回以降は、天スギ樹形の実例を交えた樹形の謎解き・読み解きに進んで行きたいと思います。乞うご期待!!








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コメント

面白い樹形。人の手が入った杉ならではの
形ということでしょうか。

自然の観察だけでなく、普段の見慣れた風景も
視点を変えると新たな気づきがありそうですね。

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