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天杉太郎のアマチュア樹木の基礎講座 その9

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 お盆休み、連日の猛暑、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

 昨日(8月15日)こんな猛暑の中、笠菅山に天スギ調査に行ってきました。あっちぇかったぁ~!!
 ですが、今回の天スギの森を辿る「林道コース」はすばらしい!!猛暑の中でも快適に登ることができました。天スギ観察にはうってつけ、最高のフィールドと天杉太郎が太鼓判を押します。

 笠菅山(615m)は、ブログで「笠菅山」、「アマチュア樹木の基礎講座 その6」の中で紹介してきた天然スギの山です。
 昨日は新潟各地で35℃を越える猛暑日、なにもこんな暑い日に600m足らずの山に出かけていかなくても!! 天スギ調査でも奇人変人と言われるのに、こんな猛暑の中出かけていくとなると、もう我々は奇人変人を通りこして悟りの境地へ。と言いたいところですが、ある目算があったのです。

 まず、ある目算の前に今回のベストショット、次の写真を見てください。

    笠菅大王-2    笠菅大王

 以前にもご紹介した「笠菅大王」です。
 太い枝を大王の腕の様に構える姿は、ただ一言「すごい!」 どうしたらこのような勇壮になりえるのでしょう。
 愛器 SONYα 広角24mm 縦のパノラマ写真で撮りました。
 巨大な天スギを一枚の写真に入れるには、この方法しかありません。
 今回も地質学が専門、高橋さんが同行してくれました。さすが地質実習で山の実践を積んだ体力・気力には脱帽です。

 さて、ある目算とは? 次の写真を見てください。

    あがりこ平    あがりこ平

 これまた以前にもご紹介した「あがりこ平」付近の写真です。「あがりこ平」は笠菅山の北側590mに広がる平らな峰で、天スギが多く自生する森です。

 写真をよく見てください。高橋さんの他にもう一人写っているのです。
 高橋さんの右側に。森林科学館・明石さんの息子さん、一富海くんです。
 今年の夏は特殊な菌類の調査中です。さすが明石さんの息子さん、将来が楽しみです。

 で、何を言いたかったというと、今回の登山ルートは、出発してからコナラの森、天スギの森、ブナの森、天スギ巨木の森とずっと森の中を歩くコースなので、森の外は強烈な日差し猛烈な暑さなのに森の中は、陽射しは樹木に遮られ、ここちよい快適な空間となっていたのです。

 強烈な夏の陽射し、その陽射しを遮った森の中、写真撮影は難しいですね。林外と林内の露出の差。「笠菅大王」の写真はこの強烈な差を一枚の写真に入れたので、上と下では露出が大きく違います。良い撮影方法があればご教授ください。

 「天スギの山・笠菅山」、今回またあらためてその魅力を実感したのでした。これからも四季折々訪ね、観察を続けていきたいと思います。
 笠菅山に興味にある方は、中ノ沢渓谷森林公園または森林科学館にご連絡ください。「天杉ブログを見た」と言ってください。後日、天杉太郎がバッチしご案内します。

 さて、本題に入りましょう。今回は「天杉太郎のアマチュア樹木の基礎講座 その9」として「樹木の癒合と肥大成長」について勉強しましょう。聞きなれない言葉ですが、天杉樹形の解明には今までご紹介してきた「樹木の更新」と同様、なくてはならない知識です。

 まず、「樹木の癒合」です。次のイラストを見てください。

    樹木の癒合    樹木の癒合

 ブログファンからもイラストがわかりやすいと好評です。ただ、字か読みにくいのはご勘弁ください。

 続いて「樹木の肥大成長」です。

    樹木の肥大成長    樹木の肥大成長

 どうですか。少しは理解して頂けたでしょうか。大事なことは、樹木の成長過程をイメージできるかどうかです。更新・癒合・肥大成長を理解し、樹木の成長過程をイメージできるようになると、いかに天スギ達が多くを語ってくれているのかがわかってきます。

 さて、このお盆休みでもうひとつしっかり勉強したことがありました。それは「京都・北山杉」についてです。先回ご紹介したイラスト「台株からの立条更新」の更新版ができたので、まずはそれを見てください。

    続・台株からの立条更新    続・台株からの立条更新

 日本の森林美の代表格「北山杉」、その幾何学模様的な美しさ。この北山杉には一本の杉丸太を育てる「丸太仕立て」と取り木と言う台株を作って何本もの杉丸太を育てる「台杉仕立て」というものがあります。今回一番注目し勉強したのはこの「台杉仕立て」です。もともと一本の杉を台株に仕立て、この台株を取り木(台杉)と言います。この台株に何本もの立ち木を育て、その先を穂先と言います。
 調べていくとこの「台杉仕立て」の原形は、京都北山にある「伏条台杉」と呼ばれる「アシウスギ」の巨木郡にあり、この「伏条台杉」は鎌倉、南北朝時代に、御料林を中心に林業技術が発達し、1本の木から多くの材をとる「一樹多幹法」が盛んに行われ、その後用途が減り放置された結果であり、さらにこの「伏条台杉」のルーツは、日本海側豪雪地帯に分布する「ウラスギ」、幹が下部から大枝に分かれるのが特徴の「ウラスギ」にあると言えそうです。
 こう直感したときに読み直した「森林への招待」で西口親雄氏も同じことを書かれていたのにはさすがに驚きました。

 一気に書き綴ってしまいましたが、以上のことが日本中の天スギ樹形の謎を解く鍵であることに間違いはなく、この秋の「中ノ沢天スギ研究会」の調査予定場所は、この京都北山の「伏条台杉」であり、「台杉仕立て」です。積雪地帯の天スギと人とのかかわりをしっかり見てきたいと思います。 

 今回で「天杉太郎のアマチュア樹木の基礎講座」は一応終了とさせていただき、次回からは「笠菅山の天スギツアー」と題して、天スギ樹形の実例と仮説解説を交えて勉強して行きたいと思います。すでに「笠菅山」で特徴的な天スギは紹介しており、だぶるところもあるかと思いますが、天スギ樹形・天スギのボディランゲージを読み解くと言う新たな視点でご紹介していきたいと思います。写真とイラストで。

 乞うご期待!!
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コメント

癒合、同種の木だからお互いにくっついても
成長できるのでしょうか。
片方が樹勢が強かったら、弱いほうが枯れて
しまったりしないのか、不思議です。
自然界は競争の世界だと思っていたので、
ちょっと意外でした。

樹木の癒合

兎吉朗さん、いつもコメントありがとうございます。
ご指摘、さすがですね。
同種の樹木が癒合してしっかり合体木になる場合もありますが、そうでない場合もあるようです。

堀大才著「絵でわかる樹木の知識」には、
「異なる個体が合体木になると、樹勢の強いほうの成長はますます盛んになり、
樹勢の弱いほうの成長が抑制されるという現象がしばしば生じる。
これは弱いほうの根から吸収された養水分が強いほうの幹に多くいってしまい、
また弱い木が生産した光合成産物が成長の旺盛な木の根にいってしまうからである。」

やはり自然界も競争社会ですね。

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