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笠菅山・天スギツアー その1

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。

 あっと言う間に秋になりました。今年のあの暑い夏はわずか二週間だけだったような気がします。私の時計も最近速く回るせいか、あっと言う間に時が過ぎ、ブログ更新が遅くなってしましいました。

 今回はまず、次の写真と地図を見てください。 天スギ調査に役立つ画期的な方法がわかったのです。

    ブログ15-9   ジオタグ付き写真      ブログ15-10   天スギマップ

 左の写真は、GPS機能付きスマートフォンで撮影した「天スギのジオタグ付き写真」です。(ジオタグ?あとで説明します) いつもお馴染み、天スギ調査・計測係りの高橋さんで、石戸道周辺の天スギ調査に行ったときの写真です。右の地図は、国土地理院が提供してくれている山屋にはお馴染み二万五千分の一の地形図で、地図中央にレ点があります。このレ点こそ今回左の天スギの位置を正確に地図上に落としこんだものなのです。

 このことは天スギ調査において画期的なことで、天スギの位置の特定は天スギマップ作成するためにはなくてはならないものなのです。そして、実質この準備のためにかかった費用は0円。当初は、この位置測定機具購入のため約10万円を見込み、天スギ調査として補助金申請までしていたのでした。それだけにこの簡単・格安な方法を見つけ出したことは、本当にうれしいことなのです。

 なぜこうした位置の特定、マップの作成が可能になったのか! は、近くブログの中でコラムを準備し、調査マップの作り方の詳細をご紹介したいと思っています。今回は、その要点だけお話します。

 今一世を風靡しているスマートフォン、このスマートフォンには位置特定機能(GPS機能)が標準仕様として既に組み込まれており、最近の機種では写真を撮った場所の緯度経度の位置情報(ジオタグと言います)が、画像ファイルの撮影情報としてファイルに記録されるのです。これが「ジオタグ付き写真」です。
 デジカメでGPS機能付きは一般的ではありませんが、スマホでは当たり前のことになっていて、その撮影機能の向上と共に、知る人ぞ知るすぐれた機能なのです。

 次に地形図です。今までは、国土地理院発行の五千、二万五千分の一の地刑図を購入して山に入っていました。が、最近個人の目的と言う前提付きで「ウオッちず」と言うインターネット上で前述の地形図を閲覧するサービスが始められているのです。もちろん拡大縮小、印刷、保存することもでします。

 そして、緯度経度の位置情報(ジオタグ情報)を地図上に表すことができるのが「カシミール3D」と言う無料ソフトウエアです。DNA杉本さんと言う方が開発された無料ソフトで、こんなに素晴らしいソフトが無料でダウンロード、使えるなんて信じられないです。

 以上の事を要約すると、スマフォの「ジオタグ」写真撮影機能+国土地理院地形図「ウオッちず」+多機能地図ソフト「カシミール3D」=天スギマップ となった訳です。

 この秋からは、この方法で「天スギマップ」を作成して行きますし、このマップの作成方法は、このブログのコラムで詳細をご説明したいと思います。お楽しみに!!

 さて、本題に入りましょう。今回からは「笠菅山・天スギツアー」と題して、笠菅山を登りながら登場する天スギについて今まで「アマチュア樹木の基礎講座」で勉強してきた内容を基に、天スギのボディーランゲージを読み解いて行きたいと思います。

 今回の天スギツアーは、笠菅山南側の清水造林小屋から鉄塔コースを登り、山頂を経由してあがりこ平から北東側の林道コースに降りるルートを辿りながら天スギを紹介して行きたいと思います。

 もちろん読み解くといっても学術的裏づけまで取れてはいませんので、推測・仮説といったものとしてご理解ください。
 また、一度に沢山ではなく、一回ごとに内容を絞って読み解いて行きたいと思います。

 それでは、笠菅山・天スギツアー スタートです!!
 清水造林小屋から鉄塔整備道を登り尾根すじに出ると、道の左側に次の天スギが現れます。いつもお世話になっている竹内さん、指し示す天スギは何とも変な感じです。

    ブログ15-1   何とも変なスギ

 どこが変かと言うと、次の写真を見てください。『変』な所に番号を入れて見ました。

    ブログ15-2   変なところの番号付き

 まず①を見てください。番号の下に枝が抜け落ちた様な空洞が見えます。豪雪地域では、樹木の枝は積雪が締まって行く沈降圧によって枝の付け根から引き落とされることがよくあります。

 しかし、この空洞はちょっと違うようです。空洞内部の材が平らな平面になっています。となると? 『剥ぎ取り木』かもしれません。『剥ぎ取り木』とは、樹木を伐採することなく、内緒で必要な材を盗み取る方法で、樹木のある面を板状に切り取る方法で、タテヤマスギ調査では多く見られ、この笠菅山でも他に例があるのです。

 『剥ぎ取り木』については、後日ゆっくり説明の機会を設けることにして、変なところ②を見てください。①から②にかけて幹が太くなっていますね。おそらくこれは樹木の肥大成長によるもので、剥ぎ取られ局所的に応力が集中し、弱くなった幹を補強するため肥大成長させたものと思われます。

 それでは次に③を見てください。おかしな枝?です。主幹から分かれていきなり真っ直ぐ上に向かって伸びています。普通、枝は④の様に横に向かって枝分かれし、光を求めて枝を伸ばして行くものです。もっと近寄って見てみましょう。

    ブログ15-3   変な枝

 どうですか! おかしいでしょう。普通枝は横に伸びますが、この枝はいきなりまっすぐ上に伸びています。
 ここでひとつ思い出して欲しいのです。最近ご紹介した上島のスギを。

    ブログ15-4   上島の胴吹きスギ

 枝打ちされたスギでも周囲から陽射しを多く受けられる条件が揃えば、胴吹きで出てきた枝は水平にではなく、垂直に伸び成長して行くものと思われます。

 さて、この「変」スギは、このままでは終わらないのです。この「変」なスギの後ろに「さらに変なスギ」が待っているのです。次の写真を見てください。

    ブログ15-5   もうひとつの変なスギ

 二本のスギが接触しています。以前の天杉太郎であれば、成長してこすれあっているんだな。で終わっていたのかもしれませんが、今は違います。この二本のスギの『変』な所にも番号を付けてみました。

    ブログ15-6   変なところの番号付き

 まずは二本のスギが接触している①を見てください。激しくこすれあっているのがわかります。もっと近づいてみましょう。

    ブログ15-7   接触そして癒合

 相当な力で押し付けられています。左側のスギの途中から横に伸びた枝が幹として成長、その成長過程の中で右側のスギと接触することになったと思われます。左側のスギは幹の形状からも風などによって幹自身が大きく動くと思われ、右側のスギとこすれあって来たことがこの写真から読み取れます。

 ピ-タ-・ト-マス著「樹木学」では、「枝の場合もお互い押しつけ合っていると根と同様に一体化する。風による絶え間ない動きで組織の接合が妨害され、これは不可能だとよくいわれるが、強い圧力があれば癒合は可能である。」と述べられています。今から10年後にはこの二本のスギは一体化しているかもしれません。

 次に接触箇所の下②と上③を見てください。まず②と③とでは幹の表皮の様子がまったく違います。左側からの接触の圧力で右側のスギの形成層の成長具合が大きく変わったと見てとれます。それに②と③では幹の太さが違います。上の③の方が太くなっています。断定はできませんが、すでに一部癒合が始まっており、左側のスギの根元部分と右側のスギの上位部分がつながり、主幹化し始めているのかもしれません。10年後20年後見に来てみなさんにもご報告します。

 つづいて④と⑤を見てください。ここでは横筋のピラミッド上の盛り上がりが確認できます。これは、樹木が瞬間的に強く捻られたり曲げられたりした場合、材繊維が細かく断裂した「もめ」が発生したと思われます。④については、ふたつの見方ができます。ひとつは、右のスギと接触する前に雪害か台風か大きな損傷を受け、亀裂が入り「もめ」が発生、この亀裂の応力を緩和するために④の付け根部分が肥大成長した。もうひとつは、接触した後台風などでより強く押され損傷し、「もめ」が発生したとも考えられます。両者の幹の太さを見ていると、ちょうど接触が始まった頃になにか大きな力がかかったのかなと思って見ています。⑤は単純にこの枝が左側に折れたことが原因と思います。

 ⑥は根元付近にあった枝が、雪の積雪時に雪のしまりによる沈降圧によって枝の根元から「枝抜け」が生じた結果と思います。

 こうして見て来ると、変なスギ、変なところ。と言って紹介して来ましたが、このことは、このスギ達は傷だらけで、日々苦しんでいる。が、一生懸命頑張っている姿であり、将来「癒合」できれば幸せな日々が来るかもしれません。

 最後に次の写真を見てください。

    ブログ15-8   さらにもうひとつの変なスギ

 今までご紹介して来たスギの近くにある天スギです。一本の様に見えますが、左側のスギが右側のスギにのしかかり、合体したものとも見えます。そう簡単に早く合体木になるとは思えませんが、左と右の幹の伸び方が全く違います。次の機会に、しっかりと調査して来たいと思います。

 どうでしたでしょうか! 次回以降も笠菅山を登りながら、出会えるスギを紹介し、天スギ達がわれわれに何を語ってくれているのか、一緒に考えて行きたいと思います。

 乞うご期待!!







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ブログファンのみなさんへ

天杉太郎です。いつもブログ「越後の天杉日記」を見てくださって本当にありがとうございます。
なぜ、天然スギ?!と言われることが多いですが、理屈も何もありません。出合ったときの感動がすべてです。
今活動している天スギ調査の十分の一もブログでご紹介できないのが残念です。
是非、中ノ沢渓谷森林公園をお尋ねください。森林科学館でもグリーンハウスでも必ず立ち寄って、
天スギブログ見てますと言って頂ければ、すべてはOKです。
これからも「越後の天杉日記」をよろしくお願い致します。

木の融合は、なかなか時間のかかるものですね。
人間なら骨折してもギプスで固定して1~2カ月で
くっつきそうですが。10年、20年の歳月をかけて
融合することで、強固な幹になるわけですね。
融合した幹の年輪を見てみたい。
しかし、切るわけにはいかない。
10年後の科学の進歩に期待です。

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