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笠菅山・天スギツアー その5 (台杉について)

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回は、笠菅山・天スギツアー その5 (台杉について)と副題をつけてご紹介します。
 台杉についてと副題を付けたのも、今回の天スギは天然スギの樹形を読み解く糸口を教えてくれるすごい天スギなのです。

 まず、次の写真を見てください。「笠菅山の台杉」です。

    ブログ15-27

 立派なスギでしょう!! でも、みなさんからは「立派な?!」「これスギなの?」とすぐ疑問が返ってきそうですね。

 でも、本当に「立派な価値ある天スギ」なんです。
 今まで清水造林小屋から笠菅山へのコースは数回登り、いつもこの天スギはあることはわかっていました。 正直最初は、変わったスギだな。竹内さんとご一緒した時もどうしたらこんな樹形になるんだろうね。と疑問に思って終わりでした。

 しかし、今は違います。少しづつではありますが、この天スギの樹形を読み解くきっかけを掴み、この天スギが自分自らの生き様を語りかけてくれているのを感じることができる様になりました。

 その糸口とは。 天杉太郎の「天杉イラスト」を使ってご説明したいと思います。イラストの内容は以前よりブログでご紹介して来ている「アマチュア樹木の基礎講座」がベースとなっています。良い機会ですので、各「アマチュア樹木の基礎講座」を再度、読み見なおしてみてください。

 それでは最初のイラスト「台杉への過程」です。

    台杉過程    台杉への過程

 いつもながらの下手なイラストに下手な字で申し訳ありません。これを見た家内に、天スギの樹形を読み解くより、あなたの字の解読の方が難しいでしょう。と言われてしまいました。納得! ただ、今まで沢山の天スギを見て来て、樹木の成長の様子を勉強して来て、考えたことをそのまま描きました。

 天スギが雪・風、そして人為的伐採による損傷を受けた後、萌芽・立条・伏条と言った更新により樹形を成長させ、この樹形を利用した再度の人為的伐採によって、また樹形が変化し、こうした過程を繰り返して行くうちに、樹形が台杉化して行くと言う過程・プロセスを描いてみました。

 ここで改めて冒頭の「笠菅山の台杉」を見てください。

    ブログ15-27-2   笠菅山の台杉 解説付き

 赤い矢印、幹の周りのいくつもの盛り上がりは、萌芽・立条か、伏条した枝が幹となって成長し、根本部分が癒合・合体し始めている状態であると考えられます。黄色い矢印、幹上部の段階状に外に広がる幹は、伐採により二次枝がさらに外側に成長したものです。

 ここで、この「笠菅山の台杉」を一回りまわってみましょう。

    ブログ15-28     ブログ15-30     ブログ15-29    笠菅山の台杉

 どうですか。台杉樹形への過程を少しはイメージしてもらえましたでしょうか。

 ここでこの「笠菅山の台杉」で極めつけの場所を見て頂きたいと思います。竹内さんの左側の樹皮をよ~く見てください。

    ブログ15-31    伏条更新の過程模様

 ぐるりと360度回る樹皮の模様を見てとれたかと思います。これは現時点では仮説ではありますが、根本から1mくらいの場所から出た萌芽枝が雪の沈降圧によって下垂・接地し、伏条更新してそのまま幹として成長、根本部分から癒合・合体していった過程の現れではないかと考えています。もし他の見方があれば、是非アドバイスをお願いします。

 これからもこの「笠菅山の台杉」を調査して行く予定です。まとまり次第、さらに面白い詳しいお話を特集でご紹介できると思います。

 ここで、「天スギ樹形の定義」を独断と偏見でまとめてみました。今まで多くの天スギ樹形に関する資料を調べて来ましたが、その樹形の表現・解釈がばらばらで、統一的な見解がないように思われます。そこで、天スギ樹形を「株立ちの仕方」により分類し、仮定義付けしてみました。合わせて以前ご紹介した紙谷先生と池嶋氏による更新の定義もご覧ください。

    天スギ定義   天スギの定義    更新定義   更新の定義

 何とか字は読めますでしょうか。解釈・定義はまだまだいろいろあるかと思います。しかし、天スギについては深く研究された資料はありません。大変生意気なことを言わせて頂ければ、1969年に全国林業改良普及協会から「スギのすべて」と言う大変立派な本が出ましたが、これは主に林業におけるスギのことで、スギ本来の姿、天然スギについては、ほとんどわかっていないのが現状なのではないでしょうか。

 「木の国・日本」、その木を象徴する日本固有種「Cryptomeria Japonica・スギ・杉」。意外にもスギそのもの自然の生態は知られていないようです。

 最後に人工林の中にたたずむ「笠菅山の台杉と台杉群」を見てください。

    ブログ15-32    ブログ15-33   笠菅山の台杉群

 周囲の人工林とは違い、これら天スギの株杉・台杉の択伐的な利用方法は、極めて省力的・利雪的・保続的・自然的なもので、優れた天スギと人との関わり、共生であったことが、その樹形から読み取ることができるのです。

 来週末には、中ノ沢天スギ研究会のメンバーで、京都・北山スギの台杉仕立てと片波川源流の伏条台杉を見に行ってきます。今回ご紹介した台杉のメッカです。大いに勉強してこようと思います。次回は、以前ご紹介した 塩野米松著「木の教え」からの一文を引用してコラムとしてご紹介します。乞うご期待!!



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コメント

台杉という言葉があるのは、杉だけがこのような
利用のされ方をしていたということでしょうか。

以前紹介されていた、あがりこというのは
杉に限らずブナなども利用されていましたね。

あがりこと台杉

兎吉朗さん、いつもコメントありがとうございます。
「あがりこ」、「あがりこ型樹形」を台伐り萌芽を利用した更新方法と定義付けするなら、「あがりこ樹形」はブナだけに限ったものではなく、いろいろな樹木についてもあります。スギについても「あがりこ型樹形」があり、それが台杉だと言っても良いと思います。しかし、他の樹木と異なり、萌芽更新だけではなく、伏条更新によってもこの樹形が成り立つと言う所がスギの特徴と言えるかもしれません。

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