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笠菅山・天スギツアー その6

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回は予定通り「笠菅山・天スギツアー その6」と題してお送りします。今回はいよいよ笠菅山の核心部、伏条による本株杉と立条による台杉をご紹介します。

 久しぶりでもあるので、最初に以前ブログでもご紹介した「天スギ定義」と「更新定義」を見て頂き、言葉の意味を再確認頂けたらと思います。また、以前ご紹介した時もお伝えしたと思いますが、これらの定義は、関連する文献、資料を確認して来た結果、この定義が一番良いと判断しての私的な知見であることをご了解ください。

    天スギ定義   天スギ定義    更新定義    更新定義

 それでは、ツアー再開です。42番の赤い鉄塔を過ぎて尾根沿いに登ると、いよいよ笠菅山の核心部・道の両サイドに天然スギが続きます。

    ブログ16-05

 それでは、この光景のどこに注目すれば良いのでしょうか。次の写真を見てください。

    ブログ16-06-2   伏条による本株立ち

 なんか根本が曲がったスギが数本まとまって見えますね。これは伸びた枝が雪の重みで地面に付き、そのうち根が張って、そこから幹となって成長したものです。もともとあった親木は伐採されたと思われ、こうしたクローンの幹が集まっています。「天スギ定義」から言えば、「伏条による本株杉」となりますでしょうか。

 もっと近づいて見てみましょう。

    ブログ16-07

 親木である主幹が伐採された後、その周辺のあった伏条枝が急速に成長したものと思われます。手前左右にそして奥に一本見えますね。手前左右の二本の根本部分を見てください。伏条し成長した幹から根が伸びているのが良くわかります。

 今度はもう少し登って反対側を見てみましょう。

    ブログ16-08

 先ほどは奥にあった幹が、今度は一番手前に見えます。この幹の根本からも根が伸びているのがわかりますね。主幹の伐採痕があり、その大きさから主幹があった姿を破線で現してみました。

 それでは、もう少し登ってみましょう。

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 奇妙な形の天スギが出てきました。でも決して奇妙な樹形ではないのです。立条による台杉です。次の写真の順番で説明していってみましょう。

    ブログ16-09-2   笠菅山の立条台杉

 二つの立条更新によってできた台杉です。それでは、まず立条台杉 ①について見てみましょう。

    ブログ16-10   立条台杉 ①

 よく見てみると、天スギはちゃんとその樹形で自らの生い立ちを語ってくれているのです。まず、主幹が伐られた痕があります。その後ろに伐採後一次枝が急速に成長して幹となった姿が認められます。この立条台杉で興味深いのは、元主幹の伐採痕手前に見られるボコボコとしたこぶ状の塊りです。(小さな赤い矢印) これは、主幹伐採後に萌芽し立条した幹が小径木のうちに順番に伐採された結果と思われます。こうした立条した多くの小径木を支えるために幹根本部分が肥大成長した様子もわかります。この写真の右下になにやら沢山の枝が見えています。それでは、向こう側からこの立条台杉 ①を見てみましょう。

    ブログ16-10-3

 どうですか。この立条台杉の後ろ側は幹中に沢山の枝が胴吹きとなって出ているのです。こうした枝が立条し幹となり、それを伐っては胴吹きを立条させ、またそれを伐って利用する。こうしたことの繰り返しが、この立条台杉が生まれた背景と思われます。

 それでは、次の立条台杉 ②を見てみましょう。

    ブログ16-11   立条台杉 ②

 立条台杉 ②も主幹の伐採痕が認められます。しかし、この立条台杉 ②は先ほどの①と比較すると主幹伐採の位置が高いと言うことです。この高さは、この付近の積雪量との関係があるかもしれません。あがりこの場合もそうですが、多くの場合樹木の伐採利用は積雪のある時行われることが一般的だったようです。この写真の左下には主幹伐採後急速に成長した一次枝と思われる幹?枝?が認められます。この一次枝は谷側斜面にあるため雪害の影響が少なく、主幹伐採後同じように立条し成長していったものと思われます。それでは、この立条台杉 ②を向こう側からも見てみましょう。

    ブログ16-12

 先ほど左側に見えていた成長した一次枝が、今度は右側に見えています。主幹伐採後立条した枝・幹群が良く見て取れると思います。これらの伐採と立条の繰り返しにより、幹根本部分が肥大成長しているのもわかりますね。

 今回のブログでは、「伏状による本株杉」と「立条による台杉」を見て来ましたが、共通して言えることはこれら天然更新したスギ、天然スギですが、かなり強度に人の手が入っているということです。

 天スギ調査を続けて最近頓に思うことは、天スギ達は自らの姿樹形を通して、過酷な自然環境を生き抜いて来た姿と多くの人との関わり、歴史的背景までも語ってくれているようだと言うことです。

 次回も、笠菅山・天スギツアーをお送りします。乞うご期待!!










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コメント

下から上へ、幹から枝へと順を追って
観察していくのかと思いましたが、
途中で根がでたり、根本から枝がでたり、
成長する順番はなかなか複雑。
奥が深いから、わからないけど、面白い。

何度も切られても着々と次の枝を伸ばして
大きくなる樹木。
地道に少しずつ成長する力は気付きにくい
けれど、振り返ると大きな結果に
なっていますね。

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