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笠菅山・天スギツアー その7  「一本台スギ・不思議な一本」

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今日は3月1日、あっと言う間に三月になりました。天スギ観察の季節の到来です。が、今年は雪が少なく雪の残っている期間が短くなるので、天スギ調査の時期と密度を上げて取り掛からないといけません。
 正直、気が気ではありません。中ノ沢周辺では、探したら探した分だけ天スギが出てくるのですから。

 「越後の天杉日記」もしばらくご無沙汰しましたが、今回は 笠菅山・天スギツアー その7 「一本台杉・不思議な一本」としてお送りします。早速、まず次の写真を見てください。赤い鉄塔から笠菅山山頂に続く尾根を登って行くと左側に見えて来ます。今までの自分であれば、特に気に留めることもなく通り過ぎていることでしょう。

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 さて、どこが普通のスギと違うのでしょうか。どこが不思議なのでしょうか。みなさんもちょっと考えてみてください。
 まず、幹が真っ直ぐではありません。次に幹が何やら左側に波打つ様に左上、左上と伸びています。そして、左側の枝が急に上に伸びて主幹にぶつかっています。このスギは何やっているんだ!!と言ったところでしょうか。 そして最後に、どうしてこうなったの??と言う疑問です。

 わたしはこのスギを見たときに直感的に「一本台杉」だと思いました。偉そうに直感的と書きましたが、天スギの大半は人の手の入った台杉です。この杉は、四方に台杉化したのではなく、一方向にのみ台杉生長したと思ったのでした。
説明しやすい様に、波を打つように見える場所に番号を付けてみました。

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 主幹と思われる幹に三箇所、一次枝と思われる枝に四箇所。
「一本台杉」と考えたのは、主① ⇒ 主② ⇒ 主③ と人的に伐採され、たまたま左側一方向へ台杉化したと言う考え方です。
 しかし良く見てみると、??。 写真で番号を付けた七箇所のうち伐採痕であるのは主①の一箇所だけなのです。主②は伐採痕の様に見えますが、主幹が細く後ろに回り、側枝が太く成長しています。主③ではさらにその様子がはっきり分かります。主幹たる幹が細く上に伸び、側枝が立派に太く主幹の様に横から上へと伸びています。人の手によって段階的に伐採され、樹形が波打った様になったとは言えません。それではなぜ?? 次に考えたのが「風衝樹形」です。

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 「風衝樹形」とは、海辺近くの林でよく見られる樹形です。常に一方向から吹く強い風、特に強風、寒風、潮風により樹木の風上側の側芽と頂芽が枯れ、風下側の側芽のみが生き残り、この側芽が頂芽優勢が崩れたために主軸になろうと立ち上がり成長し、これが繰り返されたことによってできた樹形です。写真の中のイラストを見て頂くとイメージできると思います。
「風衝樹形」だった。と思ったのですが、周囲には風衝樹形の天スギはなく、この一本だけ。

 もし冬の季節風が要因なら、北風は写真の左(北)から右(南)へ吹くので、「風衝樹形」の成長する方向が真逆、もし地形の関係で南側からの風となって吹いたとすると、南側(右)には笠菅山へ続く尾根があり、この天スギは斜面途中にあるので、風は尾根に遮られる形となっています。超局所的風の通り道。周囲の樹木を見てもこの天スギ以外に「風衝樹形」を呈する樹木はありません。
 と言うことで、どうも「風」の説ではないようです。

 はたと困りました。夜も寝ずに考えました。次に考えたのは「光」説です。
この天スギが生長した頃には、周囲に大きな樹木が取り囲む様にあって、この天スギは光を求めて谷側(左)に偏って成長していった。なんとなくそれっぽくなって来ました。が、
 周囲に伐採痕はなく、また、この説ではなぜ段階状に成長したかの説明が付きません。

また、寝ずに考えました。そして、最後に行き着いた結論は、「主幹伐採」説です。
 「主幹伐採」説とは。写真を見てください。

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 この天スギには、昔立派な主幹があったと考えます。写真の黄色い破線のイメージです。
今、見えている主幹は、実は一次枝で、今見えている一次枝は、実は二次枝だったと言うことなります。なぜ「主幹伐採」説なのか、順を追って仮説を説明して行きましょう。

 天スギの場合、多くの枝が成長しますが、主幹側には枝は成長しません。

 主幹があったときは、常に上には主幹主冠がるので、一次枝二次枝とも、
 上方向ではなく、横方向に成長していました。写真の主②、主③がその結果です。

 あるとき主幹が伐採されました。写真の主①です。伐採痕の形状から自然に折れたものではなく、
 のこぎりかチェーンソーで枝の付け根部分から伐られています。人為的なものです。

 主幹伐採後頂芽優勢が崩れ、一次枝二次枝が垂直方向へ急速に成長して行きました。
 その結果、写真一次①が 主②にぶつかってしまったのです。

 以上が「主幹伐採」説です。あくまでも仮説です。

 いつもの様に擬人化して考えてみると、「豪雪の急斜面、非常に厳しい環境に苦労して立てた商売屋。子供が成人した頃、主人が突然事故で亡くなって、二代目の息子が必死になって働いて一家を支えた。その孫たちも頑張った。」と言うドラマになりそうです。

 天スギは一本一本が個性的で、一本一本が物語を持っているのです。

次回は、笠菅山・天スギツアー その8と題してお送りします。
 内容は次の二つです。

    ブログ16-14    s-山内杉

 乞うご期待!!
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コメント

一本の杉の樹形を理解するのに、いろいろな
考え方がありますね。雪、風、光、人の伐採。
あるいは、まだ気付かない別な要因も
あったかもしれません。違う人がこの杉を
観察したら、また違ったストーリーが考え出される
のでしょうか。
夢中になって考えると眠れなくなりますね。

次回の写真も不思議な樹形。楽しみです。

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