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天スギ積雪埋没状態調査隊 その3

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 ブログ更新を一回おやすみしてしまいました。実は先週、「ヨドの森」で登場頂いた杉の専門家「清盛氏」のご案内で「タテヤマスギ」の調査に行っておりました。立山連峰の中腹「弥陀ヶ原・美女平」に自生する「タテヤマスギ」、片貝川の流域に自生する「洞スギ」、海岸近く杉沢に自生する「沢スギ」をじっくり観察して来ました。感想は「衝撃の三日間」でした。「天スギ」に対する見方・考え方が変わり、人生観にも影響を及ぼす程の衝撃でした。その上で、「清盛氏」が言われた「ヨドの森の」の凄さ、貴重さを、「越後の落武者」の意味を改めて考えさせられました。
 この場をお借りしまして、貴重な、そしてまたとないすばらしい体験をさせて頂いた「清盛氏」に心よりお礼申し上げます。

 そして、秘かに「清盛氏」や「良き支援者・竹内氏」とも「天スギ学会」ちょっと固いですかね、「天スギ研究会」なるものを立上げ、日本中の天然スギを回り調査し、樹齢や奇妙な樹形に惑わされることなく、天スギの生き様を人間社会にどう生かせるかどうか、このあたりを模索・研究するグループを立ち上げたいと思っているのです。
 「清盛氏」は何十年も「タテヤマスギ」の研究をされて来ていますが、天スギ一本一本の「生き様」に気づき興味を持たれたのはなんと三年まえからだとのことです。「天スギの生き様」と言うテーマは、古くて「新しいテーマ」であると考えています。特に今の時代、これからの時代において、貴重で重要なテーマになるのではと思っています。

 それでは、本題「雪に関する基礎知識の勉強」に入りたいと思います。
 私たちが住んでいる新潟は「雪国」ですが、住んでる私たちは、特に新潟市内に住んでいる人たちは「雪」に関する知識は、ほとんどないのではないかと思います。新潟の雪は湿った雪、あとは雪崩による被害があると言った程度ではないかと思います。
 「天然スギ」を考えるときは「雪」を、「ヨドの森」を考えるときは、スギ+岩場+雪の三つの要素を考えなくてはなりません。「雪」について、基礎の基礎を勉強してみましょう。テキストは日本林業調査会が発行した「雪国の森林づくり」です。編集は「豪雪地帯林業技術開発協議会」です。いろいろな取り組みがなされているのですね。表紙を見てください。

      雪-1   「雪国の森林づくり」

 今回このテキストの中から学ばせてもらいたいポイントは三つです。まず第一に「雪圧、特に沈降圧」について。第二に「雪質と沈降圧」。そして第三に「斜面の雪圧」です。今回これら説明には、文献中の図(豪雪地帯林業技術開発協議会、1984)を引用させてもらいます。

 まず、第一の「雪圧、特に沈降圧」についてです。次の写真図を見てください。

      雪-2   「雪圧、特に沈降圧」

 雪が降ったあと時間がたつにつれて雪がしまり、積雪の深さが減っていくことを「沈降」と言います。このとき、雪の中に埋設物があると、そこで雪の沈降は妨げられて雪の層はしゅう曲します。このしゅう曲部分、つまり「埋設物に支えられたふとん状態の積雪」の重量が埋設物にかかる重みを「沈降圧」と言います。この「沈降圧」は積雪が多いほど大きくなり、林道のガードレールがねじ曲げられているのはこの圧力のためです。そして、この「沈降圧」に関係する大小の要因の中でも、雪質の影響は大きなものです。次の写真図を見てください。

       雪-3   「雪圧と沈降圧」

 降った後の雪質は、新雪 ⇒ シマリ雪 ⇒ ザラメ雪 ⇒ シモザラメ雪と変化して行きます。この変化の中で、雪の粒の大きさ、粒の結合力、沈降する幅、沈降圧も図の様に変わっていきます。こうした変化の中で「沈降圧」が最も大きいのが「シマリ雪」です。今年の大雪の中で行われた「天スギ積雪埋没状態調査」は、こうした雪質の変化の中での天スギの幼樹が雪に埋まって行く様子を一冬かけて調査したもので、特に二月の「天スギ積雪埋没状態調査隊」の奮闘は、前に述べた「シマリ雪」の状態で、最も「沈降圧」が大きい状態を調べるためのものでした。例年にない大雪の中で、調査隊のみなさんには本当にがんばって頂きました。
 最後に「斜面と雪圧」です。天然スギにおいては、もうひとつこの要因をしっかりと理解しておく必要があります。

      雪-4   「斜面と雪圧」

 斜面の積雪は、しまりによる沈降と斜面の雪が下の方へと移動する二つの力が同時に働いています。この写真図の説明では、「東北の典型的なシマリ雪地帯では、斜面の鉛直に立てた柱にかかる雪圧を1とすると、垂直に立てた柱にはその4倍、水平の場合には9倍となる。すなわち、鉛直柱には移動圧だけがかかるが、垂直柱、水平柱には移動圧の他に沈降圧もかかっているのである」との説明がなされています。ここで言う水平柱の状態が、天スギの埋没状態の姿であり、いかに大きな力が雪に埋まる天スギにかかっているかが、分かって頂けると思います。加えて、シマリ雪がザラメ雪に変わった後は、積雪の移動がしやすくなるため、今度は大きな移動圧がかかるということです。

 以上、ものが雪に埋まったときの様子について、少しは理解して頂けたと思います。天スギはこうした過酷な環境の中で、雪で押しつぶされた幹を根っ子に変えてじっとじっと耐えてかつ自らの樹高(樹長)を伸ばし、いつのときか雪面から抜け出して行くのです。

 次回は、この積雪埋没状態調査の舞台をご紹介し、雪に埋まって行く様子をご紹介します。乞うご期待!!
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コメント

林業の本で雪の勉強ができるとは意外でした。

雪は降った当初から重いのだと思っていましたが、斜面では
しまっていく過程でどんどん圧力が大きくなるのですね。

屋根の雪下ろしも面倒がらずに、こまめにおろしたほうがいいと、
理屈として納得できました。

雪が解けるまで圧力をかけられている杉は大変ですね。
今年は雪融けも遅かったので、なおさら。

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