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天スギ積雪埋没状態調査隊 その9

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 暑い毎日、暑中お見舞い申し上げます。この一週間、仕事で台湾に行っておりましたが、帰国した新潟の方が暑かったです。

 先回はコラムと言う形で「幹と根」について触れさせてもらいました。コラムを書いていて改めて思うことがありました。
 確かにいろいろな場所の特徴的な天スギ巨木や目を引く天スギ巨木を紹介して行った方が、世の中のみなさんの「受け」は良いだろうなと思うときもあります。
 しかし、本当の意味で天スギの凄さ、逞しさ、面白さをみなさんに知り、理解してもらうためには、地味ではありますが、今回のテーマで紹介しているM-2やM-3の様な天スギの幼木の生態を調査し、紹介して行くことの方がはるかに大切、意味があると思うのです。
 なぜならば、産み落とされた稚樹の時からの生き様が、結果としてあの天スギ巨木の樹形に刻み込まれて行くのですから。天スギのボディーランゲージを読み解くためには、稚樹・幼樹の時の生態を知ることが必須なのです。

 さて、今回は「幹の根株化・M-3」をご紹介します。
 まず、暑い暑い夏、雪にすっぽり埋まった「M-3」を見て頂きましょう。

   MB7-14.jpg   雪に埋まったM-3

 積雪2.5m、すっぽり埋まり、その姿はありません。
 それでは、積雪埋没状態調査隊によって発掘された「M-3」を見て頂きましょう。

   MB7-15.jpg

 発掘作業は大変でした。掘っても掘っても出てきません。当初、M-3は積雪の途中に埋まっていると思っていたのですが、実際はM-1と同様に地面に押し付けられ押しつぶされ、氷付けになっていたのです。過酷です。この積雪に埋まるM-3を見ていて、いつになったらM-3は積雪から顔を出し、大きく成長できるのでしょうか。10年、いや50年、100年掛かるのではないかと思います。

 この状態は、4月に入っても続いていました。

   MB7-16.jpg   残雪に埋まるM-3

 4月中旬に入り幹を覆う雪がなくなると、幹部が立ち上がり始めました。根元部、根株化部、幹部と見てください。根株化部では枝・葉はなく、幹の根化が進んでいるのでしょう。コラムでもご紹介しましたが、この根株化部を輪切りにして内部を観察すると、その組織変化の様子が良く分かると思います。

   MB7-17-2.jpg

 5月に入り、残雪がなくなる頃に、幹が立ち上がっていました。

   MB7-18.jpg   起き上がったM-3

 それでは、M-3の根元部、根株化部、幹部と順番に見て行きましょう。

   MB7-19.jpg   M-3 根元部

 M-2の根元部同様、幹から根へと極端に太さが変わっています。この根元右側にM-4の根元があり、M-3がM-4の根株部分を乗り越えて伸びています。

   MB7-20.jpg   M-4を乗り越えるM-3

 左側がM-3、右側の太い部分がM-4の根株化部分です。次に根株化の部分と幹部の部分の違いを見てください。

MB7-21.jpg

 長靴の右側が根株化部、左が幹部です。雪に長く埋まり地面と接していた部分と起き上がり地面から離れた部分では様子が全く異なります。根株化部は萌芽を含め枝の成長はありません。それに対し長靴の左側・幹部は枝と共に萌芽と思われる細い枝が無数に出ています。最後に幹部の先の方を見てください。

   MB7-22.jpg   M-3 幹部

 萌芽枝が無数に出ているのが良く分かりますね。

 以上、「天スギ積雪埋没状態調査隊」の内容は如何でしたでしょうか。「M-2」は岩の上に成長する「ヨドの天スギ」の生態・樹形を知るには非常に良いサンプルで、「M-3」は雪国の天スギの特別な生態「幹の根株化」を知るには非常に良いサンプルだったと思います。こうした稚樹・幼樹の観察によって森林公園・展望台の天スギをはじめ多くの天スギの樹形・ボディーランゲージをを読み解くことができる様になりました。近い内に「天スギ・ボディーランゲージ読み解き講座」を開設する予定です。

 次回は、コラム「天スギ・ボディーランゲージを読み解く」をお送りし、その後、「天狗の大杉」「笠菅山の天スギ」「杉峰の天スギ」とご紹介して行きます。乞うご期待!!


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コメント

おっしゃる通り、どんな巨木も稚樹、幼樹の時代が
あったわけですから、そこから学ぶことも大切ですね。

数ある杉の幼樹のなかから、ちょうどよいサンプルを
選べたのも、みなさんの鋭い観察眼、洞察力があってこそです。
そして雪堀りも!好奇心からくるパワーは絶大ですね。

夏休みの子どもたちも、自然の中で思い切り遊んで
好奇心いっぱいに育ってほしいものです。

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