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天狗の大杉 その5

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回は「樹形の意味」と題して、「天狗の大杉」の樹形の意味を解くためにも樹木の風に対する巧妙な仕組みを学んでみたいと思います。今回も参考書籍として堀大才著「絵でわかる樹木の知識」から引用させて頂きます。ブログファンのみなさん、天杉ファンのみなさん、天スギのボディーランゲージを読み解くための参考書「絵でわかる樹木の知識」は是非購入されることをおすすめします。

 まず最初は「樹冠の形とはたらき」です。樹冠の形、すなわち枝振りは力学的にきわめて大きな意味をもっています。孤立木の場合、上方からばかりでなく水平方向からも十分な光を受けられる日照条件のよい状態にある木は大きな樹冠をもっています。しかし、おおきな樹冠をもつ孤立木ほど強い風に曝され、樹冠は帆船の帆のように横風を受けます。樹木はこうした風に対し、巧妙な仕組みをもって対抗しています。

 風に対する樹木の安定は幹や枝の力学的な強さばかりでなく、個々の枝の動きがとても重要です。次の写真を見てください。

      天狗-10(2)    風による枝の揺れ方

 樹冠内の斜め上方に向いている枝でも、風上側に向いている枝と風下側に向いている枝とでは揺れるのに時間差が生じ、風方向に対して直角に向いている側方の枝でも、わずかな角度の差で揺れる時間にずれが生じます。枝はある方向に曲げられるとその反動で次の瞬間には反対方向に曲がります。こうした揺れ方のわずかな時間の差によって、枝のかかる風荷重を枝どうしで打ち消しあっているのです。

 次は「樹幹と大枝の形とはたらき」です。釣り竿の先端を曲げてみるととても簡単に曲がりますが、元部付近はほとんど曲がりません。このように枝や幹は基本的に先端が細く元部が太くなっており釣り竿のような形になっています。次の写真を見てください。

      天狗-11(2)    樹幹にはたらく「てこの原理」

 写真左下の図のように先端と元部が同じ太さの幹がもしあったとすれば、曲がり方は「てこの原理」により根元にもっとも大きな曲げ応力が発生し、折れてしまうでしょう。しかし樹木は写真右下図のように樹幹や枝の基本形が根元に近くなるほど太くなる円錐形になっており、曲げ応力を均等にするのに役立っており、さらに根元は湾曲しながら拡大する「ナイロイド」と言う形をしており、根元にかかる曲げ応力をかぎりなく小さくすることに役立っているのです。

 最後に「枝と叉の構造」です。風が吹くと葉は風圧を受け、その力は小枝、枝、大枝、幹、根と伝わり、最後には土壌に吸収されますが、強風のときにはきわめて大きな力が枝にかかり、ときには枝折れが起きます。樹木はそのような事態が起きることをなるべく避けるために、幹と枝、枝と小枝の連結部分、すなわち叉を特殊な形に発達させているのです。次の写真を見てください。

      天狗-14(2)    幹と枝の分岐部

 写真の円に囲まれた部分、叉周辺では、アメリカの故Shigo博士が示したモデル(ここでは詳細を省かせてもらいます)のように、幹の組織と枝の組織が複雑に入り組んでいます。春になると最初に枝の材組織が前年の幹組織の上に被さるように発達し、その後、幹の組織が枝の組織を覆います。ゆえに、枝の付け根では幹と枝の成長が重なっているので、他の部分より旺盛な成長を示し、強固な構造になっているのです。

 いつも見慣れている樹木の形ですが、その形は力学的にも理にかなった形構造になっているのですね。「恐れ入りました!」。

 さて次回は「Big Accident」と題してお送りします。乞うご期待!!
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コメント

今回は、自分には難易度が高い内容でした。
木の枝の揺れ方は、写真からイメージするのは
難しいです。普段、風に揺れている木は見ているはず
なのに。全く意識していませんでした。
よく観察してみようと思います。

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