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コラム(12) 高橋喜平著 「日本の杉」

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回から「天スギの山・笠菅山」を特集してお送りする予定でしたが、この一週間読み続けて来た 高橋喜平著 「日本の杉」があまりに良い本なので、ご紹介を兼ねてコラムとしてお送りします。

    日本の杉-1    日本の杉-2    「日本の杉」

 この書籍は、先回ご紹介した「最上の天スギ」をたずねる旅で、案内をしてくださった 最上エコポリス自然案内協会・事務局長の白倉祐一さんからご紹介頂いた本です。初版が昭和49年1月25日に全国林業改良普及協会から発行されています。現在では絶版となっており「Amazon」での入手はできず、「日本の古本屋」を使ってようやく見つけ出し、手にすることができました。

 著者の高橋喜平氏は長年林業試験場に勤められた方ですが、私には次の一冊の著者として学生山岳部時代から知っている日本雪氷学会の高橋喜平氏でした。

    日本の雪崩    「日本の雪崩」

 高橋喜平氏の専門が雪崩防止・森林雪害の研究だったので、一見すると全く別分野のこの二冊の本が発行されたのでした。「日本の雪崩」で印象的な一文は「日本には日本の雪崩がある」でした。徹底した現場主義の方だと思っています。

 高橋喜平著 「日本の杉」から二つの文章を紹介させて頂きます。

 「杉にとって生きるということは受難に耐えるということである。そういえるほど、杉の一生は受難の一生である。しかし、受難必ずしも不幸ではない。それに耐え、それにうち克ったときの喜びはなにものにもかえがたいものがあるからである。
 そのことは何百年もいきつづけてきた杉の老木を見れば万事を諒解されることであろう。
 人間なら危険を感ずればそこから遠のけばよい。しかし、杉にはそれができない。それが杉の宿命である。それ故、いかなる受難があっても、それに耐え、それにうち克つことだけがいきつづける唯一絶対の方法なのである。
 杉が生きてゆくためには光も熱も、雨も風も必要である。しかし、それも度をすごすと災難の種となる。台風、豪雪、寒冷、落雷などの気象による受難、雪腐病、瘤病など菌類による受難、さらに昆虫や鳥獣による受難、その上人間による火災や煙害などの受難など数えあげれば杉の敵は際限もなく多いことに気付く。
 しかし、杉は不平も不満もいわない。ただじいっとしてこれらの受難に耐えて生きているのである。いや、そのことに杉は生き甲斐を感じているのかもしれない。

 そういうことをあれこれと考えてみると、杉が生きつづけるための努力と忍耐とがいかに大きいものであるかがわかり、そのことに心から敬意を払わずにはいられない。本当に、杉はすばらしい生きものである。(受難の杉より)」



 「わたくしは長い間国立の林業試験場に務めていたので、杉とともに暮らしてきたが、最初のころはその価値を材木としての面からだけ眺めていた。ところが、ある年ひどい心臓神経症にかかり、悶々の日々をおくっていたとき、ふと窓から眺めた杉林が強くわたしの心をとらえた。
 杉は雪の日も風の日も、いつも変わらない姿で天に向かって立っていることに気がついたのである。大地にしっかりと根をおろして、天に向かってのびることだけが杉の天命であることに気がついたのである。このあたりまえのことに気がついたとき、杉が生命あるものの喜びや悲しみを語り合える友人であることがわかった。
 それ以来、わたくしは急速に杉と親しくなり、わたくしも杉のように強く生きたいと願うようになった。(あとがきより)」

 高橋喜平著 「日本の杉」は、以前ご紹介した 平英彰著 「スギ巨木物語」と共に私の座右の書となったのでした。

 次回からはお約束とおり「天スギの山・笠菅山」をご紹介します。乞うご期待!!


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コメント

とても深い文章だと感じます。
長い間、じっくりと杉と向き合っていてこそ、
気付くことができたのですね。

一日にたくさんのことを詰めこんで、
すぐに結果を求めるような、せわしない
生活の中では、気付かずに通りすぎて
しまいそうです。

林業ならではの時間感覚、ものの見方は独特ですね。

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