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コラム(14) この一年をふりかって

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回は、「コラム(14) この一年をふりかえって」と題してお送りします。

 今年もあと一週間、あっと言う間の一年でした。と言うのがこの時期の常でしたが、今年はすこし違う思いでいます。
 母が亡くなったこと、仕事で台湾に拠点を作ることになったこと。今までないことがあった年でした。
 天スギ調査でも、一冬かけた積雪埋没調査、五月のタテヤマスギ、六月の佐渡の天スギ、十月の大清盛、十一月の最上の天スギと今までにないビッグな体験をすることができた年でもありました。
 数日前、家内がわたしに聞きました。「年を取るとなぜ時間が早く過ぎるのか、一年が早く感じるのか?」 答えは、「年を取ると経験したことを経験するようになるから、時間の記憶が早く過ぎてしまう。」とのことです。
 新しいことを今までにないことを経験し、新しいことにチャレンジした一年は、短くは感じないようです。「なるほど~!」

 先週12月16日(日)、天スギ調査隊の反省会・慰労会を行いました。
 当初は一泊の予定でしたが、日帰りで9人の方々の参加を頂き、今年の調査活動の記録写真を見ながら、振り返りとノンアルコールビールで乾杯をしたのでした。
 「まずい!」やっぱりビールで気持ち良く飲みたかったです。と言う事で、2月2日・3日で新年会を行う予定です。決して飲むことが目的ではないのですが。
 今回は、中ノ沢の長老・神田幸一さんもお呼びして、いろいろなお話も聞くことができました。
 「天スギ」と言うひとことをキーワードに、いろいろな企画を立て、実行し、想定以上の沢山の経験・体験を積むことができました。これもひとえに天スギ調査隊のみなさんのおかげとこの場をお借りしてあらためて感謝申し上げます。
 今後も「天スギ」をテーマに、新しいことにチャレンジして行きたいですね!

 今回の天スギ調査隊の振り返りを通して、これからの天スギ調査について、改めて強く思うことがありました。
 それは、天然スギと人とのかかわりです。先にご紹介したブログ・ヨドの森(13)をあらためて見て頂きたいのですが。 クリックしてください。⇒ 「 ヨドの森 (13) 」
 そして、「天然スギのあがりこ型樹形」と言う新たな視点です。クリックしてください。⇒ 「 コラム(13) あがりこ 」      
 今年経験できた、学ぶことができた一番の収穫は、樹木がそのボディーランゲージを通して語ってくれていることは、その樹木が厳しい自然環境に耐えて生き抜いてきた記録だけではなく、その樹木とその地に住むひと達との関り合いと言った過去の歴史、生活史も物語ってくれていると言うことです。

 わたしは、中ノ沢の自然とそこに住む人達が好きで中ノ沢に通い、中ノ沢の自然をつぶさに回る中で天然スギに出会い、その天然スギの生態を調べて行く中で、天然スギの人との関りが見えてきて、天然スギの不思議を知ることは大むかしからの中ノ沢の生活史を知ることにつながっていくことがわかって来ました。
 中ノ沢の生活史は人と自然との共生の歴史であり、今の現代人にとってもっとも学ぶべきことがつまっている宝物だと思うのです。
 当初、天然スギの厳しい自然環境の中を生き抜く凄さ、たくましさ、生き様に理屈抜きに感動し、その後の天然スギをさらに広く深く調べて行く中で、わたしが最も大事と考えていた、自然と人とのかかわり合いにつながって行ったのです。
 わたしにはこのことが、とてもとてもうれしいのです。我が意を得たり。自分の思い、気づきは正しかった、良かった。という感じです。

 良き支援者、竹内さんより次の様な助言を頂いています。
 『樹種を問わず、また植栽木であっても、巨樹・巨木にはその周辺住民の生活や自然環境の変遷を乗り越えてきた重みがあり、それが我々に感動を与える要因になっていると思います。また、その樹木に対する「なぜ?」という素朴な疑問も沢山あると思います。そこで、巨樹・巨木が生きてきた経過を科学的に探求する以外に、「巨木の謎を解く」と言うような集まりにしたら、樹木学、民俗学、心理学、山村学、歴史学などなど、いろいろな側面から話題が集まるような気がします。』

 森林科学館の明石さんからも次の様な助言をもらっています。
 『一般の自然間連の組織が人間不在の生態学的な視点で森林や樹木を考察するのに対して私たちの目指す活動では、人間やその生活と切り離さない視点で考察していったらどうかと考えています。日本人とスギは切っても切れない関係にあると思うからです。「あがりこ」は典型的に人の作り出した樹形なのですから。』

 「天スギ」と言うキーワード、「天スギ調査」と言うテーマを持つことで進められてきた活動ですが、この活動の今後の進むべき方向が次第に定まってきているように思います。
 この活動部隊のネーミングも、これからの活動計画も含め、今後みなさんと話し合って、決めて行きたいと考えています。

 最近思うことがもうひとつあります。
 仕事柄、スマートフォンやパソコン、情報端末などの市場に関わる中、便利さを求める流れは留まるところを知らずエスカレートして行っています。
 スマートフォンでいつでもどこからでも操作できるスマート家電??!!。人はいったい何をしようとしているんだろう。と思っているのです。
 次から次へと新しいものを求め、古いものは価値のないものとして捨て去られて行く。人は便利な便利な世の中を求め、その先何を求めようとしているのでしょうか。
 子供たちは高性能?のゲーム機に興じ、外で自然の中で遊ぶ機会をう失い、
大人たちの自然感は、高画質の薄型テレビの中のすばらしい自然画像に、雰囲気たっぷりのBGMの中、リビングでケーキにお茶を飲みながら見ることができます。

 すべてがバーチャルの世界、人によって作られたものです。それが真実の姿と思い、子供たちは大人になって行き、大人は子供たちに接して行きます。
 こうした表現が適切かはわかりませんが、アナログの時代はまだ人の感性と文明の利器のバランスが取れていたように思います。デジタル化時代の到来と共に一挙にバランスが崩れて来たように思います。

 週の後半、中ノ沢に身をおく中で、わたしの気持ち・こころは平常心を取り戻していると言ってよいのかもしれません。
 中ノ沢の暮らしは、大変なものです。安易に良いところですとは言えません。すべてが「不便利さ」の中にあると言ってもよいのです。
 でも、ながくながく自然とともに暮らしてきた生活の中には、今のわたしたちが学ぶべきことがたくさんあると思っています。

 最後に次の写真をあらためて見て頂きたいと思います。

    天杉の森(04)・20503

 「ヨドの森」のシンボルタワー・Y-1と一緒に写る中ノ沢の長老・神田幸一さんです。
 今から10年前、神田幸一さんと初めて「ヨドの森」をご一緒した時のこの写真を「今」あらためて見てみると、今までにない深い深い意味を感じるのです。
 「ヨドの森」の天スギと中ノ沢の長老が語る山村の厳しい自然とその自然と共生してきた生活の歴史。何としてもこの貴重な宝物を後世に伝え、残して行かなければならないと思うのです。

 この一年間、ブログ「越後の天杉日記」を見てくださってありがとうございました。これからも進化・発展するブログ「越後の天杉日記」をよろしくお願いします。

 それではみなさま、良いお年をお迎えください。
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コメント

一年の締めくくりですね。振り返るととても
多くの情報が盛り込まれたブログでした。

最近、「木の教え」という本を読みました。
木材を扱う職人を取材して書かれた内容ですが、
現代生活のアンバランスさも指摘されています。
まさに、今回のブログで太郎さんが同じ思いを
書かれていて、思わず本を読み返してしまいました。

便利で綺麗なつくりものの世界に甘えすぎないよう、
これからも、中ノ沢の教えを学んでいきます。
よろしくお願いします。

今年一年天杉のブログ楽しく読ませていただき有難うございました。また天杉の調査にも参加させていただき感激の連続でした。あんなに厳しい環境の中で移動もできず よくあんなに長い年月の中で大きく成長できる物ですね。現地に行かないと伝わってこない物ってあるんですよね。来年もチャンスがあったら参加させて下さい。本当に楽しい一年でした。 天杉太郎さんも良いお年をお迎え下さい。 

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