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天スギの山・笠菅山 その(6)

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 今回は、笠菅山の天スギ・中編として、山頂付近の天スギ達を紹介していきます。
 先先回ご紹介した「赤の鉄塔」の後方斜面を登って行くと次の様な天スギ群が現れてきます。

    笠杉-12-1-2   山頂付近の天スギ群

 写真の黄色い破線の上と下を見比べてください。地上から1~2mを境に上と下では樹木の様相が大きく異なります。この違いは積雪によるものですが、あらためてこのことを実感します。

 今回は、山頂付近の天スギを6つ内容に分けてご紹介して行きたいと思います。その6つの内容とは以下の通りです。
 ①根っ子部分:根株化と伏状更新
 ②株立ち:スギの株立ち。スギにひこばえはあるのでしょうか。
 ③立状更新:地上1~2m。立状更新 or あがりこ?
 ④あがりこ:地上2~4m。スギのあがりこ型樹形
 ⑤幹部分:まっすぐ伸びない幹、主幹
 ⑥メインツリー:山頂付近の巨木
 それでは順を追ってご紹介していきましょう。


 <根っ子部分:根株化と伏状更新>

    笠杉-12-2-1    笠杉-12-2-2    笠杉-12-2-3

 左の写真は、根株化した天スギで、根株化した幹が複雑に入り組んでいます。中の写真はこの根株化した天スギの一部ですが、写真手前から向こう側に太い根が伸びていますが、その先は右の写真の様に太い幹となって先へと伸びています。この天スギは、真直ぐ上にではなく、横に横に伸びているのです。

    笠杉-12-2-4    笠杉-12-2-5

 左の写真、竹内さんの足元を見てください。枝が地面にもぐり伏状更新になっています。右の写真では、根株化と伏状更新が混ざっています。稚樹・幼樹のとき積雪によりどれだけ押しつぶされ、ねじ曲げられてきたことか想像できます。



 <株立ち:スギの株立ち。スギにひこばえはあるのでしょうか。>

    笠杉-12-3-1     笠杉-12-3-2

 ここで言葉の勉強を。
 「株立ち」:一つの根株から数本の幹が生じること。6つほどのパターンがあるが、普通は区別せず、狭い範囲からいくつも上がる樹形をまとめて「株立ち」と呼ぶ。
 「ひこばえ」=「萌芽」:伐採後切り株や根から出てくる新しい芽のこと。
 左の写真は、「天スギの株立ち」です。写真左側の二本のスギをよ~く見てください。X字状に合体しているのです。その次の二本は根元で合体しています。そして右端のスギは、一度伐採を受けたか雪で損傷した後、脇の枝が成長したように見えます。右の写真は、何と説明しましょうか。伐採痕があるので、「天スギのひこばえ?」「天スギの立状更新?」正しい解釈できる方は、是非コメントに投稿ください。勉強不足ですみません。


 <立状更新:地上1~2m。立状更新 or あがりこ?>
   笠杉-12-4-2   笠杉-12-4-3   笠杉-12-4-4   笠杉-12-4-5

 これら4枚の写真は、地上1~2mの範囲で、複数枝分かれしている天スギです。この低い高さで分枝する樹形は、積雪の影響で主幹が損傷してその周囲の枝が幹として成長した「立状更新」と考えています。しかし、左1枚目の写真の左から二番目のスギ、二段で分枝しているのがわかります。これは人的影響を受けた「あがりこ型樹形」の特徴でもあります。自然環境因子による「立状更新」をうまく利用した「天スギのあがりこ型樹形」と考えるのはどうでしょうか。


 <あがりこ:地上2~4m。スギのあがりこ型樹形>

    笠杉-12-5-1   笠杉-12-5-2   笠杉-12-5-3   笠杉-12-5-4

 これら4枚の写真は、地上2~3mの範囲で、複数枝分かれしている天スギです。これらは「天スギのあがりこ型樹形」と考えています。積雪による損傷にしては不自然なこと、二段三段と枝分かれしている状態が観察できるからです。昨年訪問した「最上の天スギ群」と酷似しています。もし、そうならば、いつ誰が伐ったのでしょうか?


 <幹部分:まっすぐ伸びない幹、主幹>

    笠杉-12-6-1   笠杉-12-6-2   笠杉-12-6-4   笠杉-12-6-5

 今までご紹介して来た「根株化」「株立ち」「立状更新」「あがりこ」は、ある程度想定していたことでした。しかし、ここでご紹介する4枚の写真は、新たな不思議でした。天スギはへんな形が多いので最初は不思議に思わなかったのですが、あらためて整理し見直しでみるとおかしいのです。これらの天スギは「まっすぐ伸びていない」のです。地上数mのところでは自然因子、人的因子などで曲がったりすることは当たり前なのですが、その先はスギらしくまっすぐ伸びているが天スギです。が、これらの天スギは違うのです。広葉樹の様にしなやかに曲がって伸びているのです。何が本来まっすぐ伸びるスギを湾曲させているのでしょう? 高さ的にも十分成長した段階での湾曲です。 右端の写真をよく見ると、幹が何かの要因で折れるほどではない程度に曲がり、その部分を修復しながら「あて材」を形成することにより、幹を元に戻そうとしているように見えます。そうなると「強い風」が要因でしょうか?


 <メインツリー:山頂付近の巨木>

    笠杉-12-7-1    笠杉-12-7-2


 そして、最後に山頂付近の天スギの巨木達です。
 すでにお話して来ている「立状更新」なのか「あがりこ型樹形」なのか。その両者によるものなのか。これからもさらなる調査を進めて行きたいと思っています。

 今回、以上の様に根株化からメインツリーまで見て来ますと、天スギが根付くまで、雪面から抜け出るまで、抜け出ても人に伐られ、上に伸びようとしても傷つけられと幾多の試練を乗り越えて来たのか。メインツリーの様に巨木化できるのは、奇跡と言ってよいのかも知れませんね。あらためて天スギの生命力に驚かされ、畏敬の念を抱かずにはいられません。

 笠菅山の天スギは、非常に多様な形態の天スギが、稚樹・幼木、青年木、成年木、中高年木、老木と多くの世代にわたって生息する天スギ観察絶好のフィールドなのです。「天スギの山・笠菅山」の魅力をすこしづつ分かってきていただけたと思います。
 次回は後編、笠菅山の北側稜線の天スギをご紹介します。乞うご期待!!



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コメント

笠菅山は、それほど大きな山だとは思っていません
でしたが、本当にたくさんの天杉があるのですね。
テーマが笠菅山になってから、写真も文章も
盛りだくさんで驚きです。
笠菅の部分だけでもブログをガイドブックにして、
それを持って登りに行ってみたいです。
実物を見ると、また新しい気付きがありそうですね。

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