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天杉太郎のアマチュア樹木の基礎講座 (その4)

 みなさん、こんにちは。天杉太郎です。
 まず、次の写真を見てください。
    あがりこ大王

 6月初めに訪ねた鳥海山中腹にある「あがりこ大王」です。この周辺には奇妙な奇怪な樹形をした数多くのブナが見られます。
 「あがりこ」とは、ブナの奇形木を指す東北の方言で、その樹形は地上2~3mの位置から多数の幹が分岐して生育しており、「上がった所から新しく子が生まれる」というところに名前の由来があるそうです。
 こうした樹形の背景には、積雪期における薪炭目的の伐採の利用が考えられ、雪の多い地方で積雪期に樹木を伐採することにより必然的に伐採位置が2~3mと高くなり、その伐採位置からでたひこばえ・胴吹きの枝を薪炭材用のサイズまで育て、持続的に樹木を利用しようとする「特殊な萌芽更新」の結果であると考えられています。
 伐られた部分はやがて癒合し、大小のグロテスクなコブとなり、また、伐られた部分から萌芽し、成長していきました。そこに暮す人々は、晩冬蓄えた薪が底をつくと、彼らは雪上に顔を出しているブナの枝先を伐り、薪にします。やがて春になりブナは目を覚まし、伐られた傷を癒やし成長を繰り返していきました。森と人との共生の暮らしがありました。

 こうした「あがりこ」仕立ての特殊な萌芽更新法はブナだけに見られるものではなく、ミズナラ・ケヤキ・サワラなどにも見られています。ここからが、「天杉日記」に「ブナのあがりこ」が登場した理由となるのですが、多くの天然スギに見られる奇妙な樹形は、今まで述べてきたことがひとつの大きな要因ではないかと思っているのです。しかし同時に、スギが薪炭材利用に用いられたのか?すべての天スギの樹形が人の手が加わったものなのか?同時に疑問も沢山出てきます。
 そこでまず「あがりこ」の実物をしっかり見てこようと一番有名な「鳥海山・あがりこ大王」及びその周辺の様子を見に行ってきたと言う訳です。

 また今回は、ブナのあがりこの森と共に、鳥海山ブナの皆伐後の天然更新、二次林の様子も見る事ができ、このふたつのブナの森の対比をすることができ、非常に良い勉強となりました。今後の天スギ樹形の調査にも大いに役立つ、貴重な体験となりました。

 今回はここまでとしますが、以前ご紹介してある「環境と樹形」に関する天杉太郎の一考察を改めて添付しておきます。今一度見て頂きたいと思います。

        s環境と図形

 次回は「スギのぼうぼう萌芽」と題してアマチュア樹木の基礎講座(5)をお送りします。乞うご期待!
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コメント

あがりこも不思議な樹形ですね。
繰り返し伐られるのは、木にとっては大変な
ことですが、逆に伐られた跡が太く、より
丈夫に育つのかもしれません。
「麦畑は麦踏みをするとよく育つ」といいますが、
そのようなイメージで考えました。
そして、他の木が生きられないような厳しい
環境になったときにも、逞しく生き延びてきた木が
巨木になったと。
長い年月の間には、干ばつや豪雪や、人による伐採や
いろいろな環境の変化があっただろうと想像すると、
今、生きている木の生命力に改めて感動します。

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